カーボンニュートラルLNGの調達に関する基本合意 ~ 舶用エンジンの製造工程からGHGを削減する取り組み ~
日立造船マリンエンジン株式会社(以下、HZME)は、このほど、舶用エンジンの陸上試験運転向けに西部ガス株式会社からカーボンニュートラルLNGを調達することに関し、同社と基本合意しました。
カーボンニュートラルLNGは、原料ガスの採掘~輸送~消費するまでに発生する温室効果ガスを、CO2クレジット※等で相殺(カーボン・オフセット)し、地球規模ではCO2が発生しないとみなすLNGのことです。
HZMEは、本社兼工場に常設している技術開発用の4気筒テストエンジン(日立-MAN B&W 4S50ME-T9(定格出力7,120kW))においてカーボンニュートラルLNGでの陸上運転を2024年3月に予定しています。また今後、HZMEで複数台製造予定のLNG焚き舶用エンジンについても、陸上試運転はカーボンニュートラルLNGを一部活用する予定です。カーボンニュートラルLNGを利用することで、テストエンジンを定格出力で運転した場合、通常のLNGと比較して65トン/日、重油焚きとの比較では86トン/日のCO2削減効果があります。カーボンニュートラルLNGの利用は、舶用エンジンの製造工程から排出されるGHGを削減することにつながります。
HZMEは、舶用エンジンにおける世界最大のブランドメーカーであるMAN Energy Solutions SE(ドイツ、以下、MAN)のライセンシーとして約3,000台の製造実績を有し、近年では舶用エンジンからのNOx排出削減装置である舶用SCR装置をMANと共同で開発するなど、舶用エンジンの環境負荷低減に関する技術開発を行ってきました。また、2023年3月末にはメタノールを燃料とした陸上テストエンジンも受注しています。HZMEは、低炭素及び脱炭素燃料に対応した新型エンジンの製造販売を通じ、海運会社等の使用者側で排出されるGHGの削減に貢献し、海運・造船業界のサプライチェーン全体におけるGHG排出削減に取り組みます。
IMO(国際海事機関)は、国際海運分野からのGHG排出量を 2050 年に半減させ、今世紀中早期にゼロにすることを目指す「GHG(温室効果ガス)削減戦略」を2018年に採択していましたが、2023年7月に目標を大幅に引き上げ、2050年頃に実質ゼロを目指すことを新たに採択したため、舶用エンジンの燃料を従来の重油焚きからLPG、LNG、メタノール、アンモニア、水素などGHG排出量が少ない燃料への転換が海運・造船・舶用機器業界にとって喫緊の課題となっています。
両社は、カーボンニュートラルLNGの利用促進を通じ、今後も積極的にGHG削減に貢献してきます。
※信頼性の高い認証基準の下、第三者検証機関による検証を経て、森林保全プロジェクトにおけるCO2削減効果を認証・発行されたもの。
なお、本合意に関する概要は以下のとおりです。
1.買い主:日立造船マリンエンジン株式会社(熊本県玉名郡長洲町)
2.売り主:西部ガス株式会社(福岡県福岡市)
3.供給量 :約46t
(終)